Little AngelPretty devil 
      〜ルイヒル年の差パラレル

    “師走のしあわせvv”
 



相変わらず水害や雪に弱い東京は、
54年ぶりの11月の降雪という天候からのスパルタ攻撃に遭い、
あちこちで凍結による渋滞が起き、線路への倒木も起きと、
あれこれ不慮の事態が発生してのこと、交通網が混乱しまくって。
勤め人の方々や学生さんがたがそれは難儀をなさったそうで。

「学校も休校になったもんな。」

周辺の学区内から通う生徒たちへのケアもだが、
中には遠くからやって来る先生方もいて、
授業に間に合う頭数が十分揃わないことが見込まれたかららしく。

「でも、大学はお休みにはならなかったんでしょ?」
「そっちもだろうが。」

大学アメフト界の二大アイドルマスコット、
小早川さんちの瀬那くんと、
蛭魔さんちの妖一くんとが、
今朝もずんと寒くなった通学路、息を白く吐きつつ登校中。
片やはまとまりの悪い、でもやわらかそうな黒髪を
ひょこひょこと弾ませているベビーフェイスの男の子で。
もう片やは、冬の朝の淡い明るさに負けぬ金の髪の下、
冴えた空気なぞ何するものぞという鋭角な面差しを覇気に力ませ、
大人びた表情になってむうと口許尖らせる男の子。
天使みたいに愛らしいのと、ちょいとおしゃまなクールビューティ、
両極端な顔合わせだが、
お友達がちょっぴり険しいお顔になっても怖がらない辺りは
ふんわり坊やの方も結構肝が太いところを忍ばせて。

「でもでも、寒くなると、進さんにくっつく理由が出来るから嬉しいなvv」

ダウンジャケットの襟元へ、ふっくらした頬をうめるようにして
うふふーとちょっぴり照れつつ笑ったセナくんの言いようへ、
妖一くんが “あ?”と訊き返しつつ、細い眉を跳ね上げたのも…無理はなかったかも。
だって、ねぇ?

「そんな言い訳なんぞ要らねぇだろうが、今更。」

あの、高校時代からも鉄面皮の仁王様として把握されてた進清十郎さんも、
この子の愛らしい風貌やらかあいらしい言動にはさすがにほだされたかと。
周囲の誰もが迷いなく思ったほど、
練習や試合に駆け付ける坊やへは自分から歩みを進めて構い倒しているのが現状、

 ではあるが

「でも、お手々繋ぐくらいだもん、普段は。」
「それで十分だろうが、普通は。」

そういや、思ったほど…抱っこだの頼もしい腕へひょいだのという
“スキンシップ”は それほどやらかしてないようなと。
今更ながらに確認の回想なんぞしてみたヒル魔くん。
進さん進さんとまとわりついて甘えるイメージがするセナではあるけれど、

『座敷犬じゃあるまいし。』

進だって着ぐるみショーのヒーローじゃないんだから、
そうそう抱き着きまくられちゃあ何も出来ないでしょうがと、
これは桜庭さんが後日に苦笑して言った弁明で。
向かい合ってにこぉと笑って
“すごかったねぇ、今のタックル♪”とか拙い表現で褒めたたえてくれて。
それだけであの不動様が感動して打ち震え、
それを発散するためか、フィールド1周してしまうというから、

 “…そかー。こいつらまだ健全なもんだよな。”

自分の方こそ、
葉柱のお兄さんとチューしたことがあったり、
お泊りにしょっちゅう行っては同じベッドにもぐりこんでたり、
結構スキンシップしているものだから、
そこいらの“基準”が微妙にズレていたかもで。

「でもねでもね、進さんの手って大きくって温ったかいんだよ?」

ベンチに並んで腰かけてる時とか、
大きい手だね〜って持たせてもらって、
セナより何周りも大きいって比べたりしてるのと。
にゃは〜なんてちょっぴり恥ずかしそうに笑ったお友達へ、

「…進の血圧が心配だな、そりゃ。」
「え?」

手が温かいってのも、血圧が上がってのことかもしれんぞと、
いやいや からかいたくてじゃあなくて、
そんなしょむない事情で
先の全日本チームのエースにこけてもらうのは困ると案じてのこと、
鹿爪らしいお顔になった妖一くんだったのへ。
後から話を聞く機会があって、
あのなあと呆れたのが葉柱さん、爆笑しちゃったのが桜庭さんだったのも頷ける、
微妙な間柄な彼らの、微妙な冬事情でございます。




     〜Fine〜  16.11.25


 *そういや、べったりくっつき合ってるのは、
  むしろ葉柱さんと子ヒル魔くんのほうだよなと、
  北風吹く中、若しくは日暮れも早くなる中、
  多少は屋外や人前で寄り添い合ってもいい季節を前に
  ちょっと振り返ってみたもーりんと妖一くんだったのでありました。

  「…一緒にすんな」←あ

 めーるふぉーむvv ご感想はこちらvv

ご感想はこちらへ or 更新 & 拍手レス


戻る